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年金の繰下げ・繰上げ 計算ツール(損益分岐年齢つき)
老齢年金は65歳から受け取るのが原則ですが、60歳から75歳までの間で開始を早めたり遅らせたりできます。遅らせると1か月につき0.7%増え、早めると1か月につき0.4%減ります。生年月日と65歳からの年金額を入れると、選んだ時期の年金額と、65歳から受け取った場合と総額が逆転する年齢を計算します。
最終確認日:|国民年金法28条・附則9条の2、厚生年金保険法44条の3・附則7条の3・附則8条の2と各施行令の現行の条文、日本年金機構の繰上げ・繰下げの説明と令和8年度の老齢基礎年金の満額を確認しています。
受け取る年金(年額)
—円
受け取り総額の比較
計算すると、ここに65歳から受け取った場合との比較が出ます。
あなたの年金額での早見表
計算すると、60歳から75歳まで1年ごとの年金額と損益分岐年齢が、入力した金額で出ます。
繰下げの増額率は「0.7%×月数」
法第二十八条第四項(中略)に規定する政令で定める額は、法第二十七条(中略)の規定(中略)によつて計算した額に増額率(千分の七に当該年金の受給権を取得した日の属する月から当該年金の支給の繰下げの申出(中略)をした日の属する月の前月までの月数(当該月数が百二十を超えるときは、百二十)を乗じて得た率をいう。(中略))を乗じて得た額とする。
出典:国民年金法施行令 第4条の5 第1項(e-Gov法令検索)。老齢厚生年金は厚生年金保険法施行令 第3条の5の2に同じ率の定めがあります
月数は65歳に達した月から、申出をした月の前月までで数えます。「65歳に達した日」は年齢計算に関する法律により65歳の誕生日の前日です。たとえば4月1日生まれの方は3月31日に65歳に達するので、3月が起点の月になります。
上限は120か月なので、増額率は最大で0.7%×120=84%(75歳)です。ただし昭和27年4月1日以前に生まれた方(または平成29年3月31日以前に受給権が発生している方)は上限が70歳で、最大42%です(日本年金機構)。
66歳になる前は繰下げの申出ができません
老齢基礎年金の受給権を有する者であつて六十六歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかつたものは、厚生労働大臣に当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる。
出典:国民年金法 第28条 第1項(e-Gov法令検索)
繰下げの申出は66歳以後です。いちばん短い繰下げでも12か月分(8.4%)になります。65歳0か月〜11か月のうちに請求すれば、65歳にさかのぼって通常の額で受け取ることになります。
75歳を過ぎて申し出ても、増額率は増えません
75歳に達した日より後に申出をしても、75歳に達した日に申出があったものとみなされます(国民年金法28条2項2号)。増額率は84%で止まり、75歳までさかのぼって支払われます。待つ意味があるのは75歳までです。
繰上げの減額率は「0.4%×月数」
法附則第九条の二第四項(中略)に規定する政令で定める額は、法第二十七条(中略)の規定(中略)によつて計算した額に減額率(千分の四に当該年金の支給の繰上げを請求した日の属する月から六十五歳に達する日の属する月の前月までの月数を乗じて得た率をいう。(中略))を乗じて得た額とする。
出典:国民年金法施行令 第12条 第1項(e-Gov法令検索)。老齢厚生年金は厚生年金保険法施行令 第6条の3
60歳0か月で請求すると60か月分で24%減ります。昭和37年4月1日以前に生まれた方は月0.5%(最大30%)です(日本年金機構)。減った額は一生そのままで、請求したあとに取り消すこともできません。
繰上げは基礎と厚生を同時に、繰下げは別々にできます
前項の請求は、厚生年金保険法附則第七条の三第一項(中略)の規定により支給繰上げの請求をすることができる者にあつては、当該請求と同時に行わなければならない。
出典:国民年金法 附則第9条の2 第2項(e-Gov法令検索)
繰上げは老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に請求します。一方だけを早めることはできません。繰下げにはこの定めがないので、基礎だけ繰り下げて厚生は65歳から受け取る、といった組み合わせができます。
損益分岐は「受け取り始めてから何年か」でほぼ決まります
繰下げで増えた額を受け取っても、待っていた期間の分を取り戻すには時間がかかります。65歳から受け取った場合と受け取り総額が並ぶまでの期間は、何か月繰り下げても同じです。
| 選んだもの | 総額が逆転するまで | 理由 |
|---|---|---|
| 繰下げ(月0.7%) | 受け取り始めてから約11年11か月 | m か月待つと、取り戻すのに m ÷(0.007×m)=約142.9か月かかる |
| 繰上げ(月0.4%) | 受け取り始めてから約20年10か月 | 早く受け取った m か月分が、m ÷(0.004×m)=250か月で尽きる |
| 繰上げ(月0.5%) | 受け取り始めてから約16年8か月 | m ÷(0.005×m)=200か月 |
月数 m が分子と分母の両方にあるので、打ち消し合います。70歳から受け取るなら81歳11か月ごろ、75歳からなら86歳11か月ごろが分かれ目です。60歳から繰り上げた場合は、80歳10か月ごろに65歳から受け取った人に総額で抜かれます。上のツールは1円単位の端数まで含めて月ごとに足し上げているので、表より1か月ずれることがあります。
70歳を過ぎてから「さかのぼって」受け取る場合
第一項の規定により老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる者が、七十歳に達した日後に当該老齢基礎年金を請求し、かつ、当該請求の際に同項の申出をしないときは、当該請求をした日の五年前の日に同項の申出があつたものとみなす。ただし、その者が次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
出典:国民年金法 第28条 第5項(e-Gov法令検索)。老齢厚生年金は厚生年金保険法 第44条の3 第5項
一 八十歳に達した日以後にあるとき。
繰下げを待っていた人が、増額ではなく過去の分をまとめて受け取るほうを選ぶと、5年前に繰下げの申出をしたものとみなされます(特例的な繰下げみなし増額制度・2023年4月から)。年金の時効は5年なので、5年より前の分は受け取れません。その代わり、5年前の時点までの繰下げで増額された額で、5年分が一括で支払われます。このツールでは、70歳以降を選んだときにこの受け取り方の額も表示します。
数字を読むときに気をつけること
- 加給年金額と振替加算は増額されません。老齢厚生年金を繰り下げて待っている間は、加給年金額も受け取れません(日本年金機構)。配偶者の加給年金がある方は、厚生年金だけ65歳から受け取る選択肢も比べてください。
- 65歳以後も厚生年金に加入して働いている方は、在職老齢年金で支給停止になる額は増額の対象になりません(厚生年金保険法施行令3条の5の2の「平均支給率」)。このツールは支給停止がない場合で計算しています。
- 特別支給の老齢厚生年金には繰下げの制度がありません。受け取れる年齢になったら請求してください。このツールでは、女性で昭和41年4月1日以前生まれの方は、その開始年齢から報酬比例部分を受け取るものとして比べています(厚生年金保険法附則8条の2第2項。厚生年金に1年以上加入していることが条件です)。
- 繰上げを請求すると、障害基礎年金を事後重症で請求できなくなる、寡婦年金が受け取れなくなる、国民年金に任意加入できなくなる、といった影響があります(日本年金機構)。
- 金額はすべて額面です。年金が増えると所得税・住民税、国民健康保険料・介護保険料、医療費の自己負担割合が変わることがあり、手取りでの損益分岐は表より遅くなるのがふつうです。
- 繰下げの待機中に亡くなった場合、遺族が受け取れる未支給年金は65歳時点の額で計算され、5年より前の分は時効で受け取れません(日本年金機構)。
- このツールは概算です。正確な年金額は「ねんきんネット」や年金事務所で確認してください。
参考にした資料
- 国民年金法(第17条・第27条・第28条・附則第9条の2)|e-Gov法令検索
- 国民年金法施行令(第4条の5・第12条)|e-Gov法令検索
- 厚生年金保険法(第35条・第44条の3・附則第7条の3・附則第8条の2)|e-Gov法令検索
- 厚生年金保険法施行令(第3条の5の2・第6条の3)|e-Gov法令検索
- 年金の繰下げ受給・年金の繰上げ受給|日本年金機構
- 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額(令和8年4月分からの満額)|日本年金機構