労務の計算ツール > 残業代
残業代 計算ツール
月給・日給・時給から1時間あたりの賃金を出し、時間外・深夜・法定休日の割増率を条文どおりに当てて残業代を計算します。深夜と重なったときや月60時間を超えたときの率にも対応しています。
1か月の残業代(割増賃金)
—円
内訳
計算すると、ここに割増率ごとの内訳が出ます。
割増率は、重なると上がります
残業代の割増率は5種類あります。ややこしいのは、深夜と重なったときに率が加算されるところです。
| どういう働き方か | 割増率 | 根拠 |
|---|---|---|
| 時間外労働 | 1.25 | 労基法37条1項/割増賃金令 |
| 時間外労働(月60時間を超えた分) | 1.5 | 労基法37条1項ただし書 |
| 時間外労働+深夜 | 1.5 | 労基則20条1項 |
| 時間外労働(月60時間超)+深夜 | 1.75 | 労基則20条1項かっこ書 |
| 法定休日労働 | 1.35 | 労基法37条1項/割増賃金令 |
| 法定休日労働+深夜 | 1.6 | 労基則20条2項 |
深夜と重なったときの率は、労働基準法そのものではなく施行規則に書かれています。
(前略)延長した労働時間が午後十時から午前五時(中略)までの間に及ぶ場合においては、使用者はその時間の労働については、第十九条第一項各号の金額にその労働時間数を乗じた金額の五割以上(その時間の労働のうち、一箇月について六十時間を超える労働時間の延長に係るものについては、七割五分以上)の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
出典:労働基準法施行規則 第20条(e-Gov法令検索)
2 (前略)休日の労働時間が午後十時から午前五時(中略)までの間に及ぶ場合においては、使用者はその時間の労働については、前条第一項各号の金額にその労働時間数を乗じた金額の六割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
月60時間超の5割増は、いまはすべての会社に適用されます
月60時間を超える時間外労働の5割増は、以前は中小企業に猶予がありました。その猶予を定めていた労働基準法138条は2023年4月1日に削除され、現在の条文には存在しません。会社の規模にかかわらず適用されます。
ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
出典:労働基準法 第37条 第1項ただし書(e-Gov法令検索)
なお、この60時間に法定休日の労働は入りません。法定休日の労働は「労働時間を延長した」ものではなく、休日労働として別に扱われるからです。
時間外労働に深夜の分が混ざっていると、「どの時間が60時間を超えた分なのか」で率の当たり方が変わりそうに見えます。ところがどちらに割り当てても合計額は変わりません。深夜以外を1.25から1.5に上げるのも、深夜を1.5から1.75に上げるのも、上がり幅が同じ0.25だからです。
1時間あたりの賃金は、給与の形ごとに割り方が決まっています
割増率をかける前の「1時間あたりの賃金」の出し方は、施行規則が給与の形ごとに定めています。
一 時間によつて定められた賃金については、その金額
出典:労働基準法施行規則 第19条 第1項(e-Gov法令検索)
二 日によつて定められた賃金については、その金額を一日の所定労働時間数(日によつて所定労働時間数が異る場合には、一週間における一日平均所定労働時間数)で除した金額
(中略)
四 月によつて定められた賃金については、その金額を月における所定労働時間数(月によつて所定労働時間数が異る場合には、一年間における一月平均所定労働時間数)で除した金額
月給の人が見落としやすいのが第4号のかっこ書きです。月によって所定労働時間が違う場合は、その月の時間ではなく1年間の平均で割ります。カレンダーの都合で毎月の労働日数が変わる会社は、こちらに当たります。
1か月の平均所定労働時間は、次の式で出します。
(365日 − 年間休日)× 1日の所定労働時間 ÷ 12
年間休日120日・1日8時間なら、(365 − 120)× 8 ÷ 12 = 163.3時間です。年間休日が125日なら160時間になります。この数字が小さいほど1時間あたりの賃金は高くなるので、残業代も増えます。
割増の基礎から外せる手当は、7つだけです
残業代の計算に使う賃金からは、いくつかの手当を除くことができます。ただし除けるものは法律と施行規則で決まっていて、それ以外は除けません。
第一項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。
出典:労働基準法 第37条 第5項(e-Gov法令検索)
法第三十七条第五項の規定によつて、家族手当及び通勤手当のほか、次に掲げる賃金は、同条第一項及び第四項の割増賃金の基礎となる賃金には算入しない。
出典:労働基準法施行規則 第21条(e-Gov法令検索)
一 別居手当
二 子女教育手当
三 住宅手当
四 臨時に支払われた賃金
五 一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金
法律の2つと施行規則の5つを合わせて、外せるのは次の7つです。
| 外せるもの(7つだけ) | 外せないもの(例) |
|---|---|
| 家族手当 通勤手当 別居手当 子女教育手当 住宅手当 臨時に支払われた賃金 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金 | 役職手当 資格手当 精勤手当・皆勤手当 業績手当 地域手当 その他、上の7つに当たらない手当 |
つまり役職手当をもらっていても、その分だけ残業代の単価は上がります。「役職手当は残業代の代わり」という説明を受けることがありますが、条文上、役職手当を割増の基礎から外すことはできません。
残業代が増えると、社会保険料も増えます
見落とされやすいのがここです。残業代は社会保険料の計算に使う「報酬」に含まれます。そして社会保険料は、原則として4月・5月・6月に受けた報酬の平均で決まり、その年の9月から翌年8月まで使われます。
保険者等は、被保険者が毎年七月一日現に使用される事業所において同日前三月間(中略)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する。
出典:健康保険法 第41条(e-Gov法令検索)
2 前項の規定によって決定された標準報酬月額は、その年の九月から翌年の八月までの各月の標準報酬月額とする。
つまり4月から6月に残業が集中すると、9月から1年間ずっと健康保険料と厚生年金保険料が高くなります。7月以降にいくら残業を減らしても、その年度の保険料は下がりません。
逆に、昇給などで報酬が大きく変われば、9月を待たずに改定されることもあります(随時改定)。
自分の場合にいくらになるかは、社会保険料の計算ツールで確かめられます。残業代を足した報酬月額を入れると、標準報酬月額の等級と保険料が出ます。
数字を読むときに気をつけること
- このツールは、入力された時間をそのまま使って計算します。変形労働時間制・フレックスタイム制・裁量労働制では時間外労働の数え方が変わるため、そのままでは当てはまりません。
- 管理監督者に当たる場合は、時間外と休日の割増賃金は発生しません(深夜の割増だけは発生します)。ただし役職名があるだけでは管理監督者になりません。
- 法定休日は週1日(または4週4日)です。土日休みの会社で土曜に働いた場合、多くは法定休日ではなく時間外労働として扱われます。就業規則でどちらが法定休日か決まっていることがあります。
- 円未満の端数の扱いは会社によります。賃金は全額を支払うのが原則です(労働基準法24条1項)。このツールは端数処理をせずに表示します。
- 固定残業代(みなし残業代)がある場合は、その時間数を超えた分について差額が発生します。このツールは固定残業代を考慮していません。